通信の安全と規制の間
中国の金盾 (Great Fire Wall)
中国国内以外の主要SNSや、Googleサービスはほぼ使えません。
特に中国においては金盾 (グレート・ファイアウォール)が有名ですが、 主な外国の検索サイト、SNSは軒並みアクセスできないように遮断されています。(香港、マカオなどを除いて)
[sanko target=”_blank” href=”https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E7%9B%BE” title=”金盾” site=”Wikipedia”]
仕事や、旅行で中国へ行く機会も以前より増え、自分のパソコンやスマートフォンを持って行くこともあると思います。
意外なことにLINEは使えるのですが、一番使いたいサービスが使えません。
それが「Googleが使えない問題」です。
Googleに依存
Googleのサービスは日常に溶け込んでしまっているので、もはやなくては生活できません。
主なものだけでも、
[box class=”box4″]Google 検索
Google Maps
Google Drive
YouTube
Gmail
Google Play (Android アプリ配信サービス)
Google 翻訳[/box]
パッと出てくるものだけでも、使ったことがない人はいないのではないでしょうか?
これが全て中国では使えません。
現地のSIMを買って挿入しても当然、検索もできないし、道に迷っても地図すら見ることが出来ません。たとえば、到着時にメールを確認しようと思ってもGmailが見れなかったということもよくあります。
最も困るのが、現地の地図アプリ(例えば百度地図)を入れようとしてもGoogle Playが使えないのでそもそもアプリすら入れることができません。他の中国サイトは普通に見れるのにです。
仕事でも会社で用意されていない場合や、特に旅行であれば、中国に行く前に準備をして行ったほうが無難です。
規制回避のためにVPNを利用しましょう。
その他便利なのに使えないサービス
Dropbox
出張、旅行先で使おうと思っていたPDFファイルが見られない!
ということがありますので、ポータブルHDDなどに入れて持って行ったほうが間違いないでしょう。
そもそもVPNって何だっけ?
ごくごく簡単に言うと、自宅から目的地まで自分専用の道路です。
トンネルになっているので他の人が覗くことはできません。
Virtual Private Network (バーチャルプライベートネットワーク)の名前の通り、自分だけのネットワークなので他者への情報流出を防ぎ安全に通信することができます。
実際の回線を新たに敷くのではなく、既存のネットワーク上に仮想のネットワークを構築するのでコストも安く、個人でも簡単に導入することができます。
なぜVPNで閲覧規制のかかったウェブサイトを見れるようになるかというと、目的のサイトを見る時には一旦VPNサーバを経由して表示されます。重要なのは、規制当局が分かるのはVPNサーバまでの経路で、そこから先は知ることができません。
中国国内在住でVPNを利用しているユーザーは数多くいます。 中国語では翻墙(fanqiang)= 壁超え というらしいですね。
外国だけでなく国内の公衆WiFiの通信の安全のためにも
町なかには数えきれないWiFi電波が飛び交っています。 中にはパスワードが設定されていないSSID (アクセスポイント)もあり、 タッチするだけでネットに接続できてしまうものもあります。
たしかに、通信はできるかもしれません。 しかし、一体誰が無料のWiFiを提供しているのでしょうか?
実は誰かが意図的にパスワードのないWiFiを提供して、通信中のデータを入手しようとしているのかもしれません。
うっかりWiFiパスワードを設定してなかったということは最近ではあまり考えられないことなので、接続する前に思いとどまりましょう。お店や公共施設でもない限り無料でWiFiを公開するメリットはありません。
ネットワークの知識を持った人であれば、利用者が通信したデータを入手(パケットキャプチャ)することもできてしまうので注意しましょう。
無料のVPNサービス
VPN GATE
筑波大学が提供するOpenVPN方式のVPNで登録なども必要なく無料で利用することが出来ます。各VPNサーバーはボランティアが提供しています。
https://www.vpngate.net/ja/sites.aspx (ミラーサイト一覧)
中国国内からは、VPN Gateのサイトは規制されているようなのでミラーサイトを使ってください。ミラーサイトは毎日更新されていて、URLをメールで配信してくれるサービスもあります。(登録はGmail以外で)
VPN Gate に VPN 接続すると、以下の 3 つの利点を得ることができます。
政府の検閲用ファイアウォールを回避し、海外の YouTube などの Web サイトを自由に閲覧できます。 IP アドレス が VPN サーバーのものに書き換わります。インターネットで安全に情報発信をしたり、Web コンテンツを閲覧したりできます。 暗号化により公衆無線 LAN を安全に利用できます。 VPN Gate は過去の共有型 VPN サービスと比べて、政府の検閲用ファイアウォールによって遮断されにくいという特徴があります。しかも、無償で利用可能です。ユーザー登録は不要です。
ただ、企業や個人がボランティアでVPNを提供しているので突然使えなくなったり、他に接続する人が多いと速度があまり安定しない傾向にあります。
WindowsやMacだけでなく、iPhone、Androidからも接続できるため使いやすいサービスです。ただ、OpenVPNという方式を採用しているため、専用のアプリのダウンロードが必要です。L2TP/ IPsecというOS標準で接続できる方式のVPNを提供しているサーバーもありますが、最近では稀です。
それぞれの、接続方法については記事の長さの都合上、別記事にて紹介させていただきます。
[card2 id=”4349″]
VPNhub
成人向けサイトを運営しているPornhubが提供しているVPNでスマホのみ無料で使えます。
[sanko target=”_blank” href=”https://www.vpnhub.com/” title=”VPNhub” site=”VPNhub”]
無料ユーザーはサーバはアメリカしか選べません。
日本国内で試したところ速度はそこそこ出ました。
ping 404ms Download 68.3Mbps Upload 38.0Mbps (休日22時)
アメリカのサーバーなのでPing値は高いですね。速度が遅いときは3Mbpsくらいなので時間帯によっては不安定になることも考えられます。
Windscribe
[list class=”ol-circle li-mainbdr main-bc-before”]
- 日本語対応
- 無料で月10GB (容量アップあり)
- 接続サーバーを選べる
- 速度も安定している
- iPhone、Android、Windows、Macどれも使用可能。
[/list]
無料のVPNの中では一番使い勝手がよいように感じました。容量、速度、アクセスポイントの多さなど。
サーバーはアメリカ4ヶ所、カナダ、フランス、ドイツ、オランダ、ノルウェー、ルーマニア、スイス、イギリス、香港など選ぶことが出来ます。日本や中国からだと香港が一番近いサーバーです。
日本国内から計
ping 332ms Download 9.46Mbps Upload 11.8Mbps (休日22時)
速度は比較的安定しているように感じました。
登録時にメールアドレス意外の個人情報は不要で、現状では一番おすすめできる無料のVPNサービスです。
[btn href=”https://windscribe.com/?affid=pavh8kjz” class=”raised blue-bc strong” target=”_blank”]Windscribe をダウンロード[/btn]
アカウント登録
PCからの登録を紹介しますが、スマホアプリからでも大体同じだと思います。
まず、ダウンロードのページの右上で言語を日本語に切り替えます。
すぐ左の、「ログイン」、「登録」をクリック。
「ユーザー名」:右の更新マークを押すとランダムに作成します。
「パスワード」:適当なパスワードを設定してください。
「メールアドレス」:適当なメールアドレスを入力。
メールアドレスを入力した場合は月10GBですが、登録なしだと月2GBのプランになります。普段使っているメールアドレスを使いたくない場合は、適当に取得したGmailでOKです。
登録したメールアドレスに確認メールが届くので、「CONFIRM EMAIL」のURLをクリックすると、10GBに増量されます。
あとは、ダウンロードしたアプリにユーザー名とパスワードを入力してログインしてください。
標準だと「ベストロケーション」で一番近いサーバーが選択されているので、右側の電源ボタンを「オン」にするとVPN接続が開始されます。
月10GBで足りない場合は
[box class=”box1″ title=””]twitterのつぶやきで5GB容量アップ
ともだち紹介で1GB容量アップ[/box]
またChromeアドオンを使うことで特定のブラウザ内でのみの動作も可能です。
地味に便利なので、WindscribeをPCで使う場合は必須です。
自分でVPNサーバを立てる
NTTが提供しているホームゲートウェイにVPNが搭載されているものもあるので導入は比較的簡単です。
また、標準的についている国産ルータも多いです。
しかし、VPNの一般的なポート(500、1194、1701、1723、4500)は比較的規制される対象となりやすく、ブロックされて使えなくなってしまう可能性があります。
インターネットでWebサイトを見ているときは一般的にHTTPの80番ポートとHTTPSの 443番ポートを利用しています。
VPNでSSL-VPN (443ポート)を使うことで、一般的な通信に見せかけることができるので、ポート単位でのVPN規制をすり抜けることができます。
具体的には
自分でOpenVPNサーバを立てて443ポートで待ち受けるようにすればいいのですが、誰もができる設定ではないので却下します。
興味がある方は443ポートでOpenVPNサーバーを運用する方法を紹介しているのでごらんください。
[card2 id=”3935″]
以下のようなSSL-VPNに対応したルータが販売されているのでそれを利用します。
特別な知識は不要です。
VPS (仮想サーバー)を借りてShadowSocksRサーバーをつくる
VPNよりさらに使い勝手の良いShadowSocksR のサーバーを月400円(3.5ドル)で作成できます。詳しいことはこちらの記事で紹介していますのでごらんください。
[card2 id=”9099″]
Synology RT2600ac
SSL(443ポート)を利用したSSL-VPNが利用できるので、中国などVPN規制をされている場所でも、遮断されずにVPNが使える可能性が高いです。
外国産(台湾)ですが、無線ルータとしても優秀で、NASメーカーらしくファイル共有の機能などもついています。
おおまかに以下のようなVPNに対応しています。
SSL VPN | SSL(443ポート)を使用。規制回避しやすい。 |
OpenVPN | 高い安全性。設定がやや分かりにくい。 |
SSTP | マイクロソフトのVPN。SSLを利用しており安全。 |
L2TP/IPsec | 主流のVPN通信方式で安全と見なされています。 |
PPTP | ややセキュリティに不安 |
WebVPN | ブラウザだけでVPN通信可能 。 |
詳しい設定について長くなるため、は別ページにて紹介します。
1年以上使っていますが安定しているのでおすすめできます。
RT2600acの記事一覧はこちらからどうぞ。
[card2 id=”4206″]
有料VPN
VPNのほか、ShadowSocksというプロキシの接続方式を採用しているため、もし一つが接続ができなくなっても他の方法を試すことができます。
このあたりがよく繋がると言われている有料VPNのようです。
Youtubeなどの動画をよく見る場合は安定する有料VPNを選択したほうがよいです。しかし、ビリビリ動画のコンテンツも充実してきたので一月にそれほど通信しないのであれば無料VPNで十分だと思います。
中国のネット規制は弱まるどころか、強化される一方なので たとえ有料VPNといえども、ずっと使えるとは限りません。
VPNも複数の経路を用意しておくことが必要です。
レンタルWiFi
VPN以外の方法として
短期の旅行や出張であれば、モバイルWiFiをレンタルして持っていくのもありです。最近では中国に対応したVPNオプションがあります。
日本で販売しているスマホがそのまま使えるので手軽です。
空港に着いて受け取って、帰国時にまた返却するといったことができるので手軽かつ便利に利用できます。デメリットとしては現地SIMを購入するより利用料金が高くなります。ただ、設定の手間と手軽さには代えられないので、選択肢の一つに入ります。
「中国ワンタイムVPN」は中国への出張・旅行も、LINEやフェイスブックなど普段からご利用のアプリが使用できることで、より便利に、より安心してお過ごしいただけるサービスです。
料金:中国ワンタイムVPN1アカウント 300円/日(+税)
海外ローミング
値段が高すぎるのでできるだけ避けたいところです。
変わり種
Androidで「Free browser」というアプリを使うと 特にVPN接続を意識することなくブラウザだけでVPN接続した状態で ネットが見れます。
Chromeをカスタマイズしたブラウザですが、開発元が中国のようなので、通信の安全が本当に保証されるかどうかは分かりません。
開発者ページ:https://freebrowser.org/en
ダウンロードして接続してみました。
シンガポールのVPNを経由して接続されています。
linode.comというのはアメリカのVPSサービスでシンガポールと香港にデーターセンターがあるようです。
速度がそこそこ出たのが意外でした。ブラウザ内でしか使えないのですが、最終手段として覚えておくと役に立つかもしれません。
まとめ
中国の規制状況はどんどん変わっていくので、この記事の情報もすぐに古くなってしまうと思います。ただ、VPN自体を完全に封鎖することは難しいのですぐに抜け道が見つかることでしょう。